こちらは、Design Cuts海外サイトのライブセッションで公開した、グラフィック・素材デザイナーであるShoutBAMのJimbo(ジンボ)氏によるProcreateチュートリアルライブ配信を文字起こししたものです。動画内では、彼が実践しながら説明するデモンストレーション形式になっているので、デザイナーの技を盗める貴重なチャンスとなっております!
このセッションでは、レタリングの構成含む下描きから、作品の色塗り、テクスチャー付け、仕上げの装飾の花の描き方までじっくりとレタリングデザインの工程を解説していきます。
ここで制作していく作品は3D効果のあるレタリングで、テキストの内側から花が咲いているような立体感のある描き方も同時に学ぶことができます。
また、このProcreateチュートリアルでは、彼らによる人気ProcreateレタリングパックであるDirty Halftones BrushSet & Video TutorialsやFade & Shade Brush Set & Tutorials、On The Road – Procreate Brush Set、Rough & Raw – Procreate Brush Setを使用して、おしゃれなレタリングデザインを習得していきます。簡単そうで難しいかっこいいレタリングデザイン、素材デザイナー直々の使い方講座、必見です!
- このチュートリアルで使用の商品 -
『Dirty Halftones BrushSet & Video Tutorials』
『Fade & Shade Brush Set & Tutorials』
『On The Road – Procreate Brush Set』
『Rough & Raw – Procreate Brush Set』
1. キックオフ!
新しいキャンバスを用意しましょう。万が一に備えて、Jimboは常に自分のアート作品を印刷できるサイズでファイルを用意します。
キャンバス設定は、センチメートルを選択して、サイズを設定します。
今回は、幅 30cm x 高さ 20cmにしてみましょう。DPI(解像度の単位)は高いほど画質が良くなりますが、その分データも重くなります。そのため、Procreateでは解像度を高く設定しすぎると、多くのレイヤーを失うことになります。例えば、300DPIに設定した場合、最大60個のレイヤーが使用可能になります。今回は、60個のレイヤーが使えれば十分なので、300DPIに設定します。
それでは、こんな感じの立体的なレタリングイラストを完成させていきましょう!
2. ポイントは四角枠
はじめに、四角の枠を描きます。今回作成していく3D文字デザインの場合、四角枠は非常に重要です。
このようなレタリングの練習では、「このブラシを使わなければだめ!」というような厳格なルールに縛られる必要はありません。自分の好きな使いたいブラシを使い、枠を描いていきましょう。(Jimboが使用のブラシはDirty Halftones BrushSet & Video TutorialsのCrunchy Pencil)
レイヤーを追加します。
Procreateの元から備わっている自動設定でまっすぐな線を描くことができます。線をランダムに引き、そのままペンシルを画面から離さずにいると、完璧なまっすぐな線へと修正してくれます。
また、画面をタップすると、角度も水平垂直に修正してくれます。
キレイな正方形を作成するには、次のように、ラフに四角をまず描きます…
そして、まっすぐな線を描いた時と同じように、ペンシルを画面から離さずにタッチした状態でいると、次のようなキレイな正方形に修正してくれます。
1つの正方形を作成したら、それを複製します。デザインしたいレタリングの文字数と同じ数の正方形をコピーしていきます。
今回作成していくようなレタリングデザインでは、Jimboはかなり短い単語を選択するようにしています。彼のオススメは、3〜6文字。
装飾を重ねていくので、最終的にパッと読めるようにするためです。テクスチャーを追加して装飾的なデザインにする場合は、長くて複雑な言葉を選ぶと、読みにくくなります。
ここから、アルファベットを描いていきましょう。ここではサンセリフ体のデザインにします。(装飾を派手にするので字体もシンプルで簡単なものに)
また、選択した文字が簡単であればあるほど、プロセスも簡単になることを忘れないでください。
文字幅については、次のような長方形を描いていきます。
コピーして向かい側に配置します。アルファベットの幅が決まりました。
3. 「O」から学ぶたくさんのこと
例として「O」を描いてみましょう、
よりキレイなアルファベットを作成するために、横軸の長方形のガイドも追加してみましょう。均等の文字幅のサンセリフも、実は横軸のラインは少し細めになっている傾向があるので、少し細めにしていきましょう。
コピーして、向かい側下に配置します。
このようにガイドを作成すると、レタリングがより簡単に、そしてキレイにデザインすることが可能になります。
実際のアルファベットのOは正円ではないですが、ここでは正円のOをデザインしていきます。真ん中の円も忘れずに。
アルファベット全体を描き終えると、均等でバランスの良いプロポーションになりました。文字内の円やスペースは全体のバランスを見ながら調節してください。
以下の画像から見て取れるように、Mは他の文字よりも少し幅が広くなければなりません。
四角枠はあくまでも単なる目安です。必要に応じて、その枠からあえて外れることもできます。枠にとらわれる必要はありません。
ビックリマークを使用して、全体のバランスを整えます。
ここで一つデザインの簡単なコツ – 円を描くは、枠を越えて大きめにするとバランス良く見えます。数学的な固定概念ではなく、実際に見える印象、人間の視覚を大事にしましょう。
4. 色塗りタイム
次は、型取ったアルファベットに色を塗っていきます。
色塗りにはあなた自身が持っているたくさんのブラシを使うことが可能です。ここでは、Dirty Halftones BrushSet & Video TutorialsのOld Inkerを使っていきます。
Procreateの内蔵ブラシはベタすぎてしまうので、このOld Inkerでラフなエッジを与えます。
また、Rough & Raw – Procreate Brush Setも全てのアルファベットに使えます。特にRIPPLE-IZERがオススメ!
これにより、汚なすぎない、ちょうど良い加減の粗さを表現することができます。全てのアルファベットを縁取ったら、中を色で埋めていきます。
次に、3D感を追加していきます。
このデザインでは、画面の外へ飛び出していくような勢いのある3D感をつけたいので、まず文字の後ろに目安の線を引きます。一つ一つ線を描いていくのは大変なので、Dirty Halftones BrushSet & Video TutorialsのHorizontal Lines Texturizerというパターンブラシで一気に描いていきます。
キャンバスにブラシをスプレーするような感じで一気に埋めます。画面を少し回転させることで、角度をつけることも可能です。Dirty Halftones BrushSet & Video Tutorialsの斜め線のブラシに角度を設定する方法でも同じ効果が得られます。自分に合った方法を試しながら、見つけて見ましょう!
これで、3D線を描くための大量のガイド線ができました。たくさんのガイド線のおかげで、どんな形のアルファベットにも対応できます。
次に、実際に3D部分を描いていきます。お好きな色を選び、ガイド線に従って線を引いていきます。
アルファベットから3D線が引けたら、色を塗ります。
一文字が完了したら、残りのアルファベットにも同じ手順を繰り返します。後でいろんなエフェクトを追加して遊べるように、それぞれ別のレイヤーに描いていきましょう。たくさんレイヤーを作成すると混乱する可能性があるため、順番に気をつけながら作業を進めていきます。
注意!:左の文字が手前のレイヤーで、一番右の文字が一番下のレイヤーになります。
任意の選んだカラーパレットをもとに、3D部分の色を変更します。
テクスチャーに移動する前に、全体のレイアウトを確認しましょう。仮に、一部のアルファベットとそれの3D部分を選択して、移動してみましょう。よりダイナミックで躍動感のあるデザインになりました。
5. 文字のアウトライン
次に、一番外側のしっかりとしたアウトラインから始めます。アルファベットの内側にも奥行きをつけるため、しっかりと縁取ります。
もう一度Dirty Halftones BrushSet & Video Tutorials』に収録のOld Inkerブラシを使用します。
ここでは、均一な線を描いていきたいので、ブラシスタジオでApple Pencilの筆圧を0にします。一定のサイズの線が描けることを確認してください。
筆圧なしに設定したブラシの準備ができたら、新しいレイヤー(クリッピングマスク)を追加して、描いた文字に直接作用するようにします。
これで、文字の周りに線を引く準備ができました。
ここでは初めに暗い線を引き、次にくらい線の内側に白い線を引いていきます。自分の好きな描き方で大丈夫です。
レイヤーを重ね、さらにアウトラインを描いていきます。このレイヤーはマスクされていないので、周りにはみ出た線が見て取れます。なので、飛び出た余分な線を取り除きましょう。
文字レイヤーに移動します。それらをクリックして、[選択]を押します。各文字を選択します。3本指で下にスクロールするとコピー・カット・ペースト画面が表示されるので、カット&ペーストを選択します。
これで2つのレイヤーができました。一つは、はみ出た部分を消去したもの、もう一つは初めのアウトラインのレイヤーです。
このアウトラインは独立しており、移動することができます。
6. ポップに仕上げる
次に行うことは以下のとおりです。
デザインにさらに奥行きを与えます。あなたの好きな分だけ奥行きをつけることができます。
ここでの最初のステップは、以下のように、アウトラインレイヤーの一つを複製します。
次に、3D線ガイドレイヤーを上部に移動し、色を変更します。ここでは白に変更します。文字の上での作業をわかりやすくするためです。
複製したアウトラインレイヤーを選択し、好きな奥行きのところまで下げていきましょう。角度はガイド線に従ってください。ここでは、あまり動かさずに程良いところでストップします。
レイアウトに満足したら、文字の外側にはみ出たアウトライン部分を選択して切り取ります。必要に応じて、消しゴムツールで消す方法でも同じ効果が得られます。
ガイド線レイヤーを非表示にして、カットされた奥行き用のアウトラインをアルファベットの内側に結合します。
アウトラインを描いた色で奥行き部分を塗りつぶします。
すべてのアルファベットに上記の手順を完了したら、アルファベットの内側のパーツも忘れずに同じ効果を施しましょう。
7. 文字の内側
次は、アルファベットの内側の底にテクスチャーや色を足していきます。次の手順を2回行います。1回はソフトシャドウ、もう1回はハードシャドウを使用して、以下のように仕上げていきます。
まず最初に、アルファベット内側部分のベースレイヤー上部にクリッピングマスクを追加します。お好きなブラシを選択てください。ここでは、On The Road – Procreate Brush SetのPowdery02を使用しています。このブラシは、ざらざらではなく、少しマイルドなテクスチャーを与えます。
暗めの色味を選択します。光がどこから差し込んでいるかを決めましょう。ここでは、光が左上端から来ています。
しっかりした濃い影から始めます。次のように追加していきます。
上に向かって激しく濃くし、下になるにつれて柔らかくなります。
次のステップは、対角線上に消していきます。必要に応じてガイド線を使用できます。左右に反転すると、反対の角度になります。
ここではガイド線ではなく、代わりにProcreateの45度の線に合わせて、消しゴムで消しました。
反対側の角でも光が差し込んでいるように同じ工程を行いますが、奥行き部分で見えない四角から差し込んでいることを理解してください。
光線ができたら、選択ツールを使用して、周りの余分な部分をカットします。
一つの影が残りました。
これで、別のクリッピングマスクを追加できます。クリッピングマスクの下にレイヤーを追加すると、自動的にそのレイヤーもクリッピングマスクされます。
次の影にも同じ工程を繰り返します。
光が差し込んでいるので、それに応じて周りもスプレーしましょう。
これで、一つのアルファベットにソフトシャドウが完成しました。同じように全てのアルファベットに適用しましょう。
8. 内側・外側
次に、以下のように、アルファベット内側の奥行きにも陰をつけていきます。
スプレーしたり消したりの、このプロセスを好きなだけ行うことで、素敵な雰囲気に仕上げることができます。
次に、色を白または明るい色に変えて、効果を加えることができます。光がどこから差し込んでるかを常に注意しましょう。つじつまが合うように気をつけてください。光のルールを守れば、好きなように遊ぶことができます!
アルファベットの内側が完了したら、外側も忘れずに。
暗い色味と明るい色味で2つのレイヤーに分けます。
上記の内側で行った工程と同じように、新しいクリッピングマスクを追加してから開始します。Bを見てください。暗めの色でスプレーしてから消去します。必要に応じて、ガイド線をもう一度使用してください。
バランスを見ながら、スプレー、消去を満足するまで繰り返します。全てのアルファベット、そして、暗い色味と明るい色味の両方を行うことを忘れないでください。
この工程を完了すると、次のように仕上がります。
9. 速描き
さて、いよいよ完成間近です。
文字の周りに装飾を足すために、鉛筆ブラシで、ラフなスケッチを行います。
装飾が必要なスペースを選んでください。あえて余白を残すことはデザインに不可欠なので、全部を埋める必要はありませんが、あなたが描きたいと思うところに描いていきましょう。
ここでは、文字部分に穴を開けて、そこから花が生えているようなデザインにしていきます。
何を描いたらいいかわからない場合は、葉っぱから始めてみましょう。簡単に描くことができ、どんなデザインにもマッチします。
下書きが終わったら、縁取りをし、色を塗っていきます。文字と同じようにRough & Raw – Procreate Brush SetのRIPPLE-IZERか、Dirty Halftones BrushSet & Video TutorialsのOld Inkerを使って、ざらざらしたエッジを与えます。
ここでは、ペンシルの筆圧がオンの状態で輪郭線を描きます。
イラストに縁取りをする時は、書道のように、線にコントラストがある方が魅力的です。これにより、作品全体がよりイキイキとした仕上がりになります。
すべての縁取りが終わったら、花に陰影を付けます。必要に応じて、色、影、テクスチャーを追加します。ここでは、いい感じのテクスチャーをつけるために、Fade & Shade Brush Set & TutorialsのSaltブラシを使用しています。
10. 背景を加える
イラストに満足したら、背景に取り掛かりましょう。
背景色を施したら、テクスチャーを追加します。ここでは、Dirty Halftones BrushSet & Video TutorialsのGrunge Dots Shadowを使用しています。
こんな感じのテクスチャーが追加されます。
初めに、暗い色味で圧力弱めでテクスチャーを追加します。そして、色味を明るくして圧力も強めに加えます。加える圧力が大きいほど、ブラシ効果は強くなります。好きな効果が得られるまで遊んでみましょう。
11. 仕上げ
最後に、文字の内側底にもテクスチャーを追加します。
Dirty Halftones BrushSet & Video Tutorials のExtra Wavyを使用しています。(セットの「Extras」に収録されています)もちろん、好みによってお好きなテクスチャーを選ぶことができます。
3D部分にもお好みでテクスチャーを追加します。
そして、満足のいくデザインになったら、完成です!
お疲れ様でした!あなたの作品は、Design Cutsの Procreate Facebook groupで共有することができます。
ぜひ、あなたの作品に多くの人に見てもらう機会を与えてみてはいかがでしょう!
Design CutsのYouTubeチャンネルでは、他にもいろんなチュートリアル動画やお得なデザイン情報を配信しているので、こちらも合わせてチェックお願い致します!(動画は全て英語のコンテンツになります。)
- このチュートリアルで使用の商品 -
『Dirty Halftones BrushSet & Video Tutorials』
『Fade & Shade Brush Set & Tutorials』
『On The Road – Procreate Brush Set』
『Rough & Raw – Procreate Brush Set』