おしゃれな筆記体は、スクリプトフォントでも手書きでも、ほとんどの場合がエレガントなスワッシュと重なり合うストロークを備えています。
レタリングアーティストがそれらのデザインを強調する1つの方法は、シェーディング(陰影やテクスチャーをつける)を適用することです。これにより、レタリングの細部に奥行きの錯覚が追加されます。
このチュートリアルでは、Adobe Illustratorでシェーディングのエフェクトを作成する方法を紹介します。タイポグラフィの基礎としてスクリプトフォントを使用し、次にグラデーションを適用して、文字のストロークが立体的に重なり合っているような印象を与えます。

このチュートリアルで作成するアートワークには、太字の流れるようなスクリプトフォントによる「Love」を使っていきます。ただ文字をタイプしただけの平らなストロークではなく、ループして重なり合っているように見せるべく、線が重なるところに陰影の効果を追加していきましょう。グレインフィルターとほこりっぽいテクスチャーを使用して、アートワークにあえての低解像度風でレトロな外観を追加し、グランジなシェーディング効果に仕上げていきます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

Adobe Illustratorで新しいドキュメントを作成し、お好みのスクリプトフォントで好きな言葉を入力します。このページで使用している書体は、お気に入りの1つの”Monday”。
もしあなたが、プロのレタリングアーティストの場合は、ご自身の作品をトレース後、この後の手順をフォローしてください。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

テキストを図形に変換するには、右クリックして[アウトラインの作成]を選択するか、ショートカットのCMD + Shift + Oをクリック。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

テキストを適当に空いているスペースに移動し、白く塗りつぶします。コピーし(ショートカットはCMD + C)、ちょうど真上に重なるようにペースト(CMD + F)します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

パスでシェイプを描いていきます。メニューバーの表示で、スマートガイドが有効になっていることを確認してください。これにより、ガイドが表示され、テキストのパス上の既存のポイントに簡単にスナップできます。文字のストロークが重なるところ全て(シェーディングしたい箇所)、見えないカーブを想像しながら滑らかにパスを描きましょう。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

シェーディングしたい文字の箇所のキワを覆う形にパスを伸ばしていき、スタートしたポイントに戻ってシェイプを作ります。このシェーディング用のシェイプが、下に位置する元の文字ストロークの全幅を覆っている限り、形は大まかで大丈夫です。(ポイントはストロークが重なっているキワ!)塗りつぶしにはわかりやすい色を使用し、はっきり見えるようにしましょう。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

重なり合うストロークのシェーディングしたい側に、シェイプを描いていきます。そして、シェーディングしたい箇所全てにシェイプを作るまで繰り返します。ベジェハンドルをクリックしてドラッグすることで、テキストの輪郭に合わせながらパスを描き始めることができます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

シェーディング用のシェイプがストロークに対して上下に位置するか、左右に位置するかによって、シェーディングを施した時にストロークのどの部分が上層で、下層なのかが決まります。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

シェーディングは、もちろん文字の先・尾にも適用できます。 [表示]メニューから[アウトライン]モードをオンにすると、文字のストロークの形状に沿ったパスを簡単に描くことができます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

滑らかで美しい文字の先・尾のアウトラインをとった後、シェーディングしたい箇所を覆うようにパスを伸ばします。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

こんな感じで、テキストにシェーディングしたい箇所全てにシェイプを描いてくださいね。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

テキストを選択してから右クリックし、[グループ解除]を選択して文字をバラバラにします。すべてが選択された状態で、ショートカットCMD + 8で複合パスを作成します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

自動選択ツールで、シェーディング用のシェイプの色を選択すれば、ワンクリックで全て選択されます。これらのオブジェクトにも複合パスを作成します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

選択ツールがアクティブな状態で、Shiftキーを押しながらテキストをクリックして選択に追加し、パスファインダーパネルの[形状エリアを交差]ボタンをクリックして、シェーディング用シェイプをテキストの輪郭にトリミングします。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

右クリックして[グループ解除]を選択し、それぞれのシェイプを個別に選択可能なオブジェクトに分割します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

ベタに塗りつぶしたシェーディング用のシェイプの色を、白黒の線形グラデーションに変更します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

グラデーションツールを使用して、各シェイプを順番に選択し、クリック&ドラッグで、グラデーションの方向を変更します。文字のストロークから影が落ちているように見せます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

ストロークが重なるところが最も暗く、離れていけばいくほど白く、自然にフェードアウトしていくようにグラデーションを調整しましょう。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

これだけのシンプルなグラデーションを追加するだけで、ストロークが重なり合うような、グッと奥行きのある立体的な見た目がテキストに現れます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

見た目をさらにアップグレードさせるために、グレイン(粒状)テクスチャーを使用して、シェーディングに点描のような効果を与えてみましょう。 自動選択ツールですべての形状を選択し、効果 > テクスチャー > 粒状でテクスチャーを追加します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

粒状の設定タブにて、密度50、コントラスト20、粒状の種類を点描に設定します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

この効果によって、ペンで何百回も点描したかのような、手書きの文字の雰囲気を加えることができます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

このグレイン(粒状)スタイルでアートワークの完成度を上げるために、さらに追加のテクスチャーを乗せていきましょう。デザイン全体の周りに選択範囲を描き、すべてをグループ化します。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

透明パネルで[マスクを作成]ボタンをクリックし、パネル内の右側のサムネイルをアクティブにします。私の素材「Free Film Dust Textures」をマスクにドラッグ(または[ファイル]> [配置])し、テキスト全体に合うようにサイズを調節します。 [マスクを反転]ボタンをクリックして、小さな粒子がテキスト全体に適応されるようにしましょう。左側のサムネイルをクリックして、マスクモードを終了し、通常のワークスペースに戻ります。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

別のFilm Dust Textureを背景に使用します。サイズを調整してから背面に配置し、テキストが上部に表示されるようにします。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

以上で完成です!シェーディング効果によって、文字のストロークに立体感が出ました。単純に配置されたグラデーションのシェイプも、ストロークの輪郭に合わせてポイントを押さえた箇所に配置することによってこのような表現が可能になります。
アートワークはお好みで、テクスチャーを加える前のシンプルでさっぱりしたままにしておくか、グレインエフェクトとほこりっぽいテクスチャーであえて痛めつけたような、ザラザラした手作り感溢れる外観をデザインに加えることができます。

【イラレ】文字に陰影とテクスチャーをつける方法

こちらの記事は、『How To Create a Shaded Type Effect in Adobe Illustrator』を翻訳したものになります。
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